Articles tagged with: 工芸
Featured, Headline, 上田祥悟, 展覧会レビュー, 関西 »

日本とオランダの交流は、慶長5年(1600)にオランダの帆船リーフデ号が豊後国(現在の大分県)に漂着したのに始まる。当時、国内においてはポルトガルやスペインといったカトリック教国との交易が既に行われていた。徳川家康による江戸幕府の成立と、それ以降に敷かれた鎖国体制によって、それらの国々との関係は絶たれることになるが、
オランダとの通商は長崎県の平戸において継続された。江戸時代における交易の花形とも言える両国の通商関係は200年以上にわたり、日本国内に世界各地の文物をもたらす重要な窓口となった。滋賀県のMIHO MUSEUMでは、そのような江戸時代における日蘭交流の中で伝来した更紗やびいどろ、阿蘭陀などに焦点を当てた展覧会が2014年6月8日まで開催されていた。
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1890年(明治23年)に成立した帝室技芸員の制度は、皇室による庇護のもと、優れた美術・工芸作家の制作活動を奨励することを目的として設けられた。この制度は戦後、内閣府と宮内省の改変によって廃止されたが、それまでに日本画、洋画、彫刻、金工、染織、七宝、陶工、漆工、篆刻、建築、写真の各分野から計79名が認定された。そのリストを見てみると、昨年大規模展が行われた竹内栖鳳をはじめ、近代の名立たる作家達が任命されていることが分かる。彼らは古式にならった皇室向けの作品に加え、当時国を挙げて取り組んでいた万国博覧会へ出品するための作品制作も依頼されていた。このような作家の顕彰制度が果たした役割は、やがて現在の文化勲章や重要無形文化財制度、日本芸術院会員などへと引き継がれてゆくことになった。
現在、京都市東山区の清水三年坂美術館では5月18日(日)までの間、漆工の分野において帝室技芸員に任命された作家達による蒔絵作品を中心した特別展が開催されている。蒔絵とは漆で絵や文様を描いた上に金属粉や色粉を蒔くことで定着させる、日本の代表的な漆工加飾技法である。今回の展覧会では硯箱と、それとセットで作られることの多かった文台や料紙箱という比較的大型の漆工品に焦点が当てられており、柴田是真をはじめとする帝室技芸員が手掛けた華麗な、あるいは粋な加飾の世界を鑑賞することができる。 (続きを読む…)
終了した展覧会, 関東 »

展覧会サイト:http://www.nichibisai.jp/
2014年1月15日(水)〜 2月23日(日)
東京国立博物館 平成館 特別展示室第3・4室(東京都台東区上野公園13-9)
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午前9時30分 ~ 午後5時
※ 入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
東京国立博物館周辺の素敵なお店
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終了した展覧会, 関東 »

美術館サイト:http://www.momat.go.jp/CG/cg.html
2013年12月21日(土)〜 2014年2月23日(日)
前期:12月21日(土)~ 1月19日(日)
後期:1月21日(火)~ 2月23日(日)
東京国立近代美術館工芸館(千代田区北の丸公園1-1)
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午前10時 ~ 午後5時(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日
東京国立近代美術館工芸館周辺の素敵なお店
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終了した展覧会, 関西 »
美術館サイト:http://www.emuseum.or.jp/
2013年12月21日(土)〜 2014年2月23日(日)
細見美術館(京都市左京区岡崎最勝寺町6-3)
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午前10時 ~ 午後6時(入館は午後5時30分まで)
休館日:月曜日(祝日の場合、翌火曜日)
3組6名様にチケットプレゼント!<終了しました>
細見美術館周辺の素敵なお店
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上田祥悟, 展覧会レビュー, 関西 »

16世紀の後半、キリスト教の布教のために日本を訪れていたルイス・フロイスをはじめとするイエズス会宣教師たちは、自らが見聞きした日本国内の様子を逐一記録し、報告書にまとめて本国へと送付していた。その中では当時、仏教への信仰が特に強かった紀伊国(紀州)についても触れられており、特に高野山、粉河寺、根来寺、雑賀衆などの宗派に関しては高い経済力と軍事力を背景にした地域自治を成立させていたことから、それぞれが1つの共和国のような存在であると報告されていた。このような記述は豊臣秀吉による紀州攻めにより、一山のほとんどが焼け落ちてしまった根来寺のかつての繁栄の様子を伝える貴重な資料となっている。室町時代末期の最盛期には数百もの坊舎と約一万人の僧兵(根来衆)を擁していたとされる根来寺では、膨大な数に及ぶ日用品の需要がその一帯での自給自足による生産活動を活発にしていた。現在も広く知られている根来の漆器は、そういった山内の状況のもとで育まれた産品の1つであった。
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昨年末にイギリスのアシュモレアン美術館で日本の刺繍を扱った展覧会が開催された。《 Threads of Silk and Gold 》と題された会場内に展示されていたのは、明治時代に製作された絹糸の刺繍による絵画作品であった。「刺繍絵画」と呼ばれるそれらの作品は、その多くが欧米の住宅に飾ることを目的に作られた輸出品であったため、日本で作られていたにもかかわらず、その存在はあまり知られていない。明治時代の他の工芸品と同じく高度な職人技によって生み出された刺繍絵画は、万国博覧会などを契機として欧米の王侯貴族の間で広く知られるようになり、多くの作品が彼らの邸宅に納められた。また海外市場を見据えていた刺繍絵画には、和洋折衷的な作品や伝統技法を駆使した写実的な表現などの独特な要素が見られた。 (続きを読む…)