ハプスブルク家いろいろ《もっと知りたい!展覧会》
ハプスブルクと聞いて皆さんはどんなことをイメージされますか?
双頭の鷲、神聖ローマ帝国、マリア・テレジア、マリー・アントワネット、エリザベートなどなどなど・・・
私は大昔に宝塚歌劇のファンだったこともあり、
「うたかたの恋」(麻美れいと遥くらら主演の!)なんていうメロドラマを思い出してしまいます。
なんにせよ、ここまでハプスブルクという名前が人を惹き付けるのは
そこになにかロマンチックな雰囲気があるからだと思うのですが。
また、どちらかというと平和的だったハプスブルク家は日本人(特に女性)の好みなのかもしれません。
なんせハプスブルク家では「戦いは他人にまかせておけ、幸せなオーストリアよ、汝は結婚せよ」
という言葉が言い伝えられていたそうです。
日本とオーストリア・ハンガリー二重帝国(当時)の国交140年目を記念して
開催されている『THE ハプスブルク』展。
その中でもやはりメインの作品は
ディエゴ・ベラスケスによる《白衣の王女マルガリータ・テレサ》でしょうか。
スペインの王女として1651年に生まれたマルガリータ・テレサは、
誕生したときからオーストリアの皇帝になるレオポルト1世との政略結婚が決まっていました。
このレオポルト1世は彼女の叔父さんであり従兄弟でもあったのです(入り乱れてますね〜)
簡単に言えばお見合い写真的なものとして描かれたマルガリータ・テレサの肖像画ですが、
《白衣の王女マルガリータ・テレサ》以外にも成長に合わせて何枚か描かれています。
2歳のときのマルガリータ
《薔薇色のドレスのマルガリータ王女/Infantin Margarita Teresa》
ディエゴ・ベラスケス 1653-54年頃
こちらは昨年のルーブル美術館展に出品されていた作品。4歳頃。
《王女マルガリータの肖像/Infanta Margarita》
ディエゴ・ベラスケスとその工房 1654年
5歳頃 《ラス・メニーナス(女官たち)/Las Meninas》
ディエゴ・ベラスケス 1656年頃
8歳のとき 《青いドレスのマルガリータ王女/Infantin Margarita Teresa》
ディエゴ・ベラスケス 1659年
15歳のとき 《赤いドレスのマルガリータ王女/The Infanta Margarita de Austria》
マルチネス・デル・マーソ 1665年頃
ベラスケス作であるとか、娘婿マルチネス・デル・マーソとの共作とかいろいろ説があったようですが、
現在ではマルチネス・デル・マーソの作品ということになっているようです。
15歳のとき輿入れした彼女は4人の子供を産んで、22歳という若さであっけなく世を去ったのでした。
さてさて、『THE ハプスブルク』展は、
ほとんどがウィーン美術史美術館とブダペスト国立西洋美術館からの出品ですが
勿論、今回日本に来ている作品以外にも素晴らしい作品を所蔵しています。
その一部を少しご紹介すると・・・
《画家のアトリエ/The Art of Painting》
ヨハネス・フェルメール 1666年 ウィーン美術史美術館
日本にも来たことがあるのでご存知の方も多いと思います。
フェルメールが死ぬまで手放さなかった一枚。
フェルメールの死後、妻も経済的に困窮していたにもかかわらず
なんとかして手元に置いておこうとしたそうです。
ウィーン美術史美術館では2010年4月25日までこの作品のみを取り上げた展覧会を開催中。
《バベルの塔/Turmbau zu Babel》
ピーテル・ブリューゲル(父) 1563年 ウィーン美術史美術館
文明批判ともとれる寓意画。
16世紀のアントワープでは反王政を唱える者が増えていたそうですが、
スペイン・ハプスブルク家によって自由な言動は抑えられていました。
そんななか、ブリューゲルは作品に権威を嘲笑するメッセージを隠しました。
そんな作家の作品がコレクションに収められているのはおもしろいですね。
《草原の聖母/The Madonna of the Meadow》
ラファエロ・サンティ 1505年頃 ウィーン美術史美術館
ネーデルラント総督だったレオポルト・ヴィルヘルムが手に入れた作品。
当時もラファエロの作品を所蔵することはかなりのステータスだったようです。
『ゴリアテの首を持つダビデ/David with the Head of Goliath』
1606-07年 90.5 cm×116.5cm ウィーン美術史美術館
カラヴァッジョには珍しく板に描かれた作品。
《エステルハージの聖母/Esterhazy Madonna》
ラファエロ・サンティ 1508年 ブダペスト国立西洋美術館
ラファエロ25歳の時の未完成作。
教皇クレメンス11世や皇妃エリザベートのコレクションを経て、エステルハージ家が入手した。
《ベルムーデス夫人の肖像/PORTRAIT OF THE WIFE OF JUAN AUGUSTIN CEÁN BERMÚDEZ》
フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ 1790年頃 ブダペスト国立西洋美術館
ゴヤの友人でもあった著名な美術批評家ベルムーデスの夫人の肖像。
ゴヤが肖像画を多く描いていた時代の作品。
《水売り少女/THE WATER CARRIER》
フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ 1810年頃 ブダペスト国立西洋美術館
宮廷画家として活躍したゴヤでしたが、晩年は市井の人々を多く描きました。
ナポレオンの占領軍に対抗した無名の人たちに対して捧げられた絵画ではないかとも言われているようです。
《黒い豚/THE BLACK PIGS》
ポール・ゴーギャン 1891年 ブダペスト国立西洋美術館
ゴーギャンが初めてタヒチを訪れた年の作品。
《関連書籍》
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名画の秘めごと―男と女の愛の美術史 有地 京子 (著) ¥ 2,310 |
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ハプルブルグ展良かったですよね!
やっぱり“お姫様”ってところが女子のハートを掴むのでは?
でも肖像画を見る限り、王子様にはイケメンが少なかったような…。
初代当主の顔の特徴を代々受け継いじゃってる血の濃さがすごい。
お姫様達は案外、侍従とか騎士とかと
アバンチュールを楽しんでたかもしれませんね。
ハプスブルク家関連の入場無料の文化講演会が聖心女子大学で行われます。講演者はあの中野京子さんです。興味のある方どうぞ。
2010/11/11
開催
「名画でたどるハプスブルクのマルガリータ」講演会開催!
日時:11月11日(木) 17時~18時40分 (聖心女子大学宮代ホール)地下鉄日比谷線広尾駅下車徒歩5分(HP参照)
『怖い絵』『名画で読み解くハプスブルク家12の物語』等の著書で知られ、NHK「知る楽―『怖い絵』で人間を読む」にも出演された中野京子氏が、この秋聖心女子大学で講演されます。 (哲学・史学・国際交流専攻共催)
対象:本学教職員/学生、一般
事前の参加申し込みは不要ですが、宮代ホールの定員は300名ですので、お早めにいらして下さい。来場者多数の場合は、ホール外で講演の様子を同時放送しますので、そちらをご覧いただく場合もあります。 お問い合わせ:哲学科研究室 TEL.03-3407-5913 電子メールでのお問合せはこちらより
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