伊万栄 《兵庫県立美術館周辺の素敵なお店》
2013 年 11 月 30 日
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灘エリアの裏通りに佇む
駅近の隠れ家割烹
王子動物園からもほど近く、落ち着いた雰囲気が心地よい灘・岩屋エリア。駅近にも関わらず、一本裏通りで落ち着いた住宅街に佇む割烹が、今月ご紹介するお店「伊万栄(いまえ)」。隠れ家的なお店で、ひっそりとした店構えが魅力的。お店を切り盛りするご主人の今榮さんは、大阪の料亭「芝苑」で修行後、約20年前にお店をオープンされたベテランの料理人です。
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鮮やかな一皿ひと皿に
洗練された繊細な味わいが
「にこにこ顔でご来店されるお客様が、その笑顔で『また来るね。』と言って下さるように、納得のクオリティーのお料理を提供しています」。今回オーダーしたのは、「ミニ会席(3670円)」。先附から水物までついてボリューム満点の全9品。「ミニ」とは言えない品数です。まずは季節感あふれる盛りつけで、目にも楽しい先附けをご紹介。

“イチジクの胡麻かけ”は、さっぱりとしたイチジクの甘さと、クリーミーな胡麻のたれが絶妙にマッチ。柚子皮の小鉢にあしらわれた“卯の花”は、ふわりとした食感の後にスッと解けてなくなる、雪のような口当たりを楽しめます。また、クセのある旨味がポイントの豆腐ようは程よいアクセントに。約9種類のお料理が味わえるとあって、どれからいただくか迷ってしまいます。
プリッと新鮮な造里を味わった後に、菊の花びらが可憐な吸物が登場。湯葉や白身魚がグッドバランスの味わいで、柚子の香りに癒される逸品です。


他にも焼物、焚合、御飯と赤出しを頂いて、


大人気の水物がサーブされます。“ほうじ茶のくずもち”と“季節のフルーツのコンポート”を口に運んで大満足。

繊細な味わいで、「また来たいな」。と思ってしまうラインナップ。素敵な笑顔で、穏やかにお話するご主人が生み出す品々は、どれも優しい味わいです。

多くの人に支えられて
ゼロからのスタートを2度経験
独立して灘にお店を出した今榮さん。“偶然物件が空いていた”のと、“駅から近い”という理由で決めた場所は、予想以上に人通りが少なく苦戦。良い仕入れ先も解らずゼロからのスタートだったとか。「当時、修行先の先輩で独立した人がいなくて。本当に右も左も解らないままお店を開きました」。独立直後、グルメ雑誌『あまから手帖』の取材を受けたことがきっかけで、メディアがこぞって取りあげるように。慌ただしい日々を送る中、あの忘れられない日が訪れたそう。
「オープンして1年半しか経っていない時に、阪神淡路大震災に直面しました。食器がほぼ全滅で、本当に大変で。修業先の女将さんが『帰ってきなさい』とお声をかけて下さって。でもここが踏ん張り所だと思ってお断りしたんです。ガラス食器などをお譲りいただいて、とてもお世話になりました」。1200円の定食から再スタートして、徐々にお客さんも戻り、震災前の営業状態に回復。気付けばオープンして約20年が経過していたそう。数回の改装と増築を経て、カウンターと個室がスタンバイする今のスタイルになったと言う。ゆったりと時間が流れる、やすらぎの空間は誰もがリラックスしてくつろげます。くつろぎを後押しする心地よいBGMにも、実はこだわりが。「妻が選曲しているんです。その時によってジャズだったり、歌謡曲をかけたりします。なかなか良いでしょ」。
人との繋がりが
愛され続ける秘密
「約20年も続けると、小学生の時にご家族といっしょに来られていたお子さんが、結婚の顔合わせで利用されたりします。その他にも七五三やお食い初め、法事など人生の大切な節目に利用して頂けるのがとても嬉しいです」。そんな話をしている途中に、「ただいまー。ちょっとお手洗い貸してねー」。とお店に入って来る小学生の女の子が。「おかえりー」。と迎えるご夫妻。「近所に住む子です。すぐ近くなのに、何故か寄っていくんですよね」。そう言いながら見送る姿はとても穏やか。そんなご主人が1人で調理されているなんて、到底想像もつかないお料理の品数。「これからの季節はてっちりに蟹すき、おせちの予約でてんやわんやですよ」。特に土日はすぐに予約が埋まるので、早めの予約が得策。ぜひ兵庫県立美術館の後にはこちらで和みのランチを。さらにちょっと欲張って午後は横尾忠則現代美術館まで足をのばしてみるのもいいかも。
取材・文:岡本未来

住所:兵庫県神戸市灘区城内通4-2-22 美登利荘1F Google Map
(阪神「岩屋」駅より徒歩10分/JR「灘」駅より徒歩5分/阪急神戸本線「王子公園」駅西口より徒歩4分)
電話:078-881-3883
営業時間:ランチ/12:00~13:30(L.O)
ディナー/17:30~20:30(L.O)
定休日:不定休
席数:約20席
駐車場:なし
兵庫県立美術館で現在開催中の展覧会は『昭和モダン 絵画と文学1926-1936』
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