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Articles in the 関西 Category

佐々木玄太郎, 展覧会レビュー, 関西 »

[2012 年 12 月 28 日 | No Comment | 1,673 views]
繊細な作品から広がる壮大な世界《宮永愛子:なかそら−空中空− レビュー》

世界は常に変化しながら均衡を取っている。これが宮永の制作の芯となる考えであり、展覧会名の「なかそら」はその世界観を表した言葉だ。ナフタリン、陶器の貫入、川や海の水から取り出した塩など、宮永は様々なものを用いながら一貫してこのテーマを探求してきた。本展はその宮永の、新作を中心とする作品六点による個展である。作品数こそ多くはないものの、展示の空間構成には趣向がこらされていて、宮永の作品世界に浸る事ができる。

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佐々木玄太郎, 展覧会レビュー, 関西 »

[2012 年 11 月 28 日 | No Comment | 4,362 views]
横尾忠則のとらえがたさ、そして横尾忠則現代美術館への期待《開館記念展I 横尾忠則展「反反復復反復」 レビュー》

今年11月3日、神戸に横尾忠則現代美術館がオープンした。建物は兵庫県立美術館王子分館の西館をリニューアルしたものだ。1階はオープンスタジオを兼ねたホール、2,3階は展示室、4階はアーカイブルームとなっている。館内スペースはそれほど大きくない。しかし横尾作品の一点一点の密度の高さを考えると、展示場所としてはこれくらいの大きさが適切なのかもしれない。かつて国立国際美術館で横尾の全ポスター展を観た際、満足度は十分だったものの、観終わるころにはバテバテになっていたことを思い出す。横尾作品はその放つエネルギーが大きいだけに、鑑賞する側もそれを受け止めるのにそれなりの体力を使うのだろう。ひとつひとつの作品と向き合い最後までしっかり味わえる分量の展示を行うには、横尾忠則現代美術館のサイズはちょうどよい具合だといえる。

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佐々木玄太郎, 展覧会レビュー, 関西 »

[2012 年 10 月 30 日 | No Comment | 3,090 views]
作品と非作品《中原浩大 Drawings 1986-2012 コーちゃんは、ゴギガ? レビュー》

中原浩大はしばしば「関西ニューウェーブ」や「ネオ•ポップ」の代表的作家として語られる。中原の作品でよく知られるのは、本展の紹介文でも挙げられている、床を覆い尽くす毛糸の編み物《ビリジアンアダプター》や、13万個のレゴブロックを用いて創られた巨大モンスター《無題(レゴ•モンスター)》、アニメのフィギュアを用いた作品《ナディア》等だろう。しかし本展で紹介されるのは、そういった展覧会において発表される作品とは別に、中原が個人的に継続してきた「ドローイング」である。本展は、最初期から新作まで中原による多数の未発表のドローイングを紹介し、20年以上に及ぶ彼のドローイング行為の全貌に迫ろうとするものである。

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上田祥悟, 展覧会レビュー, 関西 »

[2012 年 10 月 30 日 | No Comment | 2,824 views]
漆の文化交流Ⅱ 《漆・うるわしの饗宴展 —世界の女性作家による漆表現の現在—  レビュー》

二条城にほど近い京都市中京区の堀川御池にある京都市立芸術大学ギャラリー、通称「@KCUA(アクア)ギャラリー」は、西京区大枝沓掛町に本拠を構える同大学が京都市内における情報発信や文化交流の拠点とすべく、2010年に運営を開始したギャラリーである。大学の英語表記である「Kyoto City University of Arts」の頭文字をもじって、「@KCUA(アクア)」と呼ばれている。今年で開館3年目を迎えるギャラリーでは、様々な分野で活躍する作家を招いた展覧会や講演会、演奏会、研究会が盛んに行われている。そんな@KCUAギャラリーにおいて10月の6日から10月21日まで開催されていたのが、世界8カ国から総勢31名の女性漆芸家が参加した《漆・うるわしの饗宴展》である。

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佐々木玄太郎, 展覧会レビュー, 関西 »

[2012 年 9 月 28 日 | No Comment | 2,397 views]
洋画普及への使命感《近代洋画の開拓者 高橋由一展 レビュー》

幕末明治を代表する洋画家である高橋由一は、自身が制作するばかりでなく、日本における洋画普及のために様々な事業も行った。油絵を見たこともない人が多く、画材もろくにそろわないような状況の日本において、画塾を開き、展覧会を催し、美術雑誌を刊行し、自ら美術館建設の構想まで行ったというその業績は、まさに近代洋画の開拓者と呼ぶにふさわしい。本展はその高橋由一の全貌を紹介する展覧会である。

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上田祥悟, 展覧会レビュー, 関西 »

[2012 年 9 月 28 日 | No Comment | 2,091 views]
東洋花布 《紅型 BINGATA展 レビュー》

15世紀に成立した琉球王国は、現在の沖縄本島を中心に様々な国や地域との交流を活発に行う中で、独自の王朝文化を築き上げた。王族や氏族の礼服・日常着として使用された「紅型(びんがた)」もその1つである。海上交易を通じて、中国の型紙技法をはじめ東洋のあらゆる染織品から様々な要素を吸収し、発展した紅型は「東洋花布」と称され、周辺国への優れた輸出品となっていった。

1972年の沖縄返還から今年で40周年を迎えるのを記念し、琉球王朝時代の染色文化を紹介する紅型展が大阪市立美術館で開催されている。この展覧会では琉球処分や第二次世界大戦という度重なる危機を経ながらも、現在まで守り伝えられてきた紅型の優品245点が、前期・中期・後期に分かれて展示されている。かつて琉球王家に伝えられ、現在は那覇市歴史博物館が所蔵する国宝10点や、今回初公開される洋画家の岡田三郎助による蒐集品58点(松坂屋コレクション)など、見所の多い展示内容となっている。 (続きを読む…)

佐々木玄太郎, 展覧会レビュー, 関西 »

[2012 年 8 月 28 日 | No Comment | 2,091 views]
《世界遺産 ヴェネツィア展 レビュー》

7世紀末に総督(ドージェ)が初めて選出されて以来、約一千年にわたり地中海交易の拠点として栄華を誇ったヴェネツィア共和国。強力な海軍力と交易を背景として力をつけ、16世紀のルネサンス期にはその富の蓄積の上に文化面でも爛熟期を迎えた。その魅力は世界中の富裕層を虜にし、人々はその栄華を讃えてヴェネツィアを「アドリア海の女王」と呼んだ。本展は、ヴェネツィア市内の7つの美術館•博物館から出品される美術品、資料、手工芸品によって、このヴェネツィア共和国の歴史と芸術を概観するものである。以下、各章を簡単にまとめつつ、目を引かれたものを取り上げてみたい。

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