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Articles in the 関西 Category

佐々木玄太郎, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 3 月 28 日 | No Comment | 2,636 views]
「工芸表現」の語り方《交差する表現 工芸/デザイン/総合芸術 レビュー》

私たちはジャンル分けが大好きだ。何事も何らかのジャンルに分類せずにはいられない。料理なら和食、洋食、中華、音楽ならポップにロックにクラシック、映画ならアクション、コメディ、ホラー、サスペンス…といった具合に。美術なら大きくは伝統美術と現代美術に分けられ、あるいはメディア別に絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションなどに細かく分類することも可能だ。また、工芸やデザインといったものをファインアートと別のジャンルとして考えるのも常識的感覚といえるだろう。このように一生懸命分類しようとするのは、そうして整理することはその物事の理解を容易にし、価値の判断もずっと楽にしてくれるからだ。ジャンルは物事にある程度の価値判断の基準を与えてくれる。ジャンル分けはその物事が置かれる文脈を決定し、その物事は該当ジャンル内の原理に沿って、理解され判断されることになる。 (続きを読む…)

上田祥悟, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 3 月 28 日 | No Comment | 2,238 views]
清濁併せ呑む 《中国 王朝の至宝 レビュー》

広大な国土に多様な民族が共存してきた中国では、古来より様々な地域で育まれた文化が集まり、互いに影響しあいながら融合していくことで、多彩で包容性のある中国文明へと発展してきた。このことは中国を流れる全ての川が、やがては海に行き着くことに喩えられる。

神戸市立博物館で4月7日まで開催されている『中国 王朝の至宝』展では、中国最古の王朝と言われる「夏」の時代から「宋」の時代に至るおよそ3000年の間に制作され、現存している多種多様な文化財、約170点が展示されている。この展覧会は、昨年の10月から12月にかけて東京国立博物館で行われていたものの関西版である。展示構成は時代順に全6章からなり、近年の発掘成果として2008年に南京市で発見された黄金の仏塔《阿育王塔》も特別展示されている。 (続きを読む…)

上田祥悟, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 2 月 28 日 | No Comment | 2,579 views]
装飾美の共演 《開館15周年記念特別展Ⅰ 江戸絵画の至宝-琳派と若冲- レビュー》

今年で開館15周年を迎える細見美術館では、同館所蔵の優品を扱った記念特別展が企画・開催されている。 2013年3月10日(日)まで開催されている第1弾となる展示では江戸時代の美術・工芸を代表する琳派の画家達と江戸時代における奇想の画家の1人である伊藤若冲にスポットが当てられている。画風は大きく違えど、ともに動植物を好んで描き、装飾性の強い作風で知られる両者の作品約60点が前期と後期に分かれて展示されている。 (続きを読む…)

佐々木玄太郎, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 2 月 28 日 | No Comment | 2,018 views]
パリに生きる人々とともに《生誕100年記念写真展 ロベール・ドアノー レビュー》

ロベール•ドアノーはフランスを代表する写真家で、とりわけそのパリを舞台とした写真でよく知られている。例えば、市庁舎前を行きかう人々の間でキスを交わす恋人同士を写した《パリ市庁舎前のキス》は、ほとんどの人が一度は目にしたことがある作品だろう。美術館「えき」KYOTOで2013年2月24日まで開催されていた『生誕100年記念写真展 ロベール・ドアノー レビュー』展はそのドアノーの生誕100年を記念して開催された回顧展である。

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佐々木玄太郎, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 1 月 29 日 | No Comment | 2,487 views]
伝統との多様な距離《渓山清遠―中国現代アート・伝統からの再出発 レビュー》

中国の現代アートと聞いて多くの人が思い浮かべるのは、「ポリティカル・ポップ」や「シニカル・リアリズム」といった、中国の政治や社会の状況を反映した作品だろうか。あるいは、過激なまでの生々しさをもったパフォーマンスを連想する人もいるかもしれない。これら強烈な印象を残す作品は世界の注目を集め、中国現代アートブームを巻き起こした。だが福岡アジア美術館で2013年2月24日(日)まで開催中の『渓山清遠―中国現代アート・伝統からの再出発』展はそれらとは方向性を大きく異にし、山水画を主とする伝統絵画を学び、そこから自らの表現を作り上げていこうとする作家たちを取り上げ、それを中国現代アートの新たな潮流として提示する。

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上田祥悟, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 1 月 29 日 | No Comment | 2,460 views]
自然と創造 《フィンランドのくらしとデザイン―ムーミンが住む森の生活展  レビュー》

昨年の4月に始まり、一年をかけて日本各地を巡回してきた『フィンランドのくらしとデザイン展』の最後を飾る展示が兵庫県立美術館で開催されている。フィンランドに関連した展覧会としては日本初となる大規模展であり、会場では美術、建築、デザインといった各分野において近現代のフィンランドを代表する作品、約350点が展示されている。本邦初公開となる作品の中には「ムーミン」の作者として知られるトーヴェ・ヤンソンの貴重な油彩画なども含まれており、見どころの1つになっている。

また今回の展覧会で貸し出ししている音声案内のナレーターには、テレビアニメ「楽しいムーミン一家」でムーミン役を務めた高山みなみさんが抜擢されている。通常の作品解説の合間に突然ムーミンがしゃべり出すという演出は、なかなか新鮮であった。 (続きを読む…)

上田祥悟, 展覧会レビュー, 関西 »

[2012 年 12 月 28 日 | No Comment | 2,651 views]
生命を写す 《山口華楊展  レビュー》

近代から現代にかけての京都画壇を代表する画家として知られる山口華楊は、明治32年(1899)に京都の友禅職人の家に生まれた。多彩な色彩でもって絵画的な意匠を施す友禅染に必要な絵の素養を高めるため、華楊は13歳の時に父の勧めで円山・四条派の画家、西村五雲に師事した。その後、明治から大正、昭和へと時代が移り変わっていく中で、本格的に画家としての道を歩み出した華楊は、伝統的な「写生画法」に基づく動物画・花鳥画を得意とした円山・四条派の影響を強く受けながら、近代西洋画や現代的な感性をも取り入れた新たなの日本画を生み出した。

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