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Articles in the 関西 Category

佐々木玄太郎, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 8 月 28 日 | No Comment | 2,638 views]
実物のリアリティと象徴性《武器をアートに―モザンビークにおける平和構築 レビュー》

「彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない」(「イザヤ書」2章4節)

アフリカ南東部に位置するモザンビークは1975年にポルトガルから独立した。しかし、その翌年から政権政党と反政府組織の間で内戦が始まり、この戦争は1992年に和平協定が結ばれるまで17年間にわたって続いた。92年に内戦は終結したものの、戦いによって生じた住民同士の間の亀裂は容易に解消されはしない。また民間には大量の武器が残されており、内戦終結後もいつ再び戦争が始まるかわからない、と危惧されていた。

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佐々木玄太郎, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 7 月 29 日 | No Comment | 3,666 views]
エヴァから入る日本刀の世界《ヱヴァンゲリヲンと日本刀展 レビュー》

本展「ヱヴァンゲリヲンと日本刀」はその名の通り、アニメ(及びマンガや小説でも展開する)「エヴァンゲリオン」と日本刀のコラボレーション企画である。本展で公開されるのはまず一つには、現代の日本刀製作者たちが手がけた、「エヴァンゲリオン」の中に登場する武器を再現した作品である。エヴァ弐号機のプログレッシブナイフや「エヴァンゲリオンANIMA」に登場する「マゴロクソード」や「ビゼンオサフネ」、さらには「ロンギヌスの槍」といった武器の数々が、人間がそれらを手にしたときにちょうど劇中でエヴァが使用したときと同じサイズに見えるような寸法で再現されている。またこの他、「エヴァンゲリオン」の世界からインスピレーションを得て、エヴァの機体や登場人物などをテーマにして意匠を凝らした作品も出品されている。

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佐々木玄太郎, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 7 月 1 日 | No Comment | 2,254 views]
ありえるかもしれない未来《國府理 未来のいえ レビュー》

國府理の車への思い入れは、本人の趣味はもちろん、世代によるものも大きいのだろう。國府が育ったのはスーパーカーが流行した時代であり、國府は小学校時代には友達に頼まれてそれらのイラストを描いていたという。現在の國府作品の支持層も意外とそのスーパーカーに熱狂した世代に多かったりするのかもしれない。もっともそのように車に思い入れのある人でなくても、多くの人は彼の作品を目の前にしたら理屈抜きに心が躍ることだろう。プロペラの回転によって進む自転車や自動車、巨大な帆を張って風力で走る車といった「KOKUFUMOBIL」と呼ばれる乗り物群は、まるでSFの世界の乗り物が実物大の模型として再現されたかのようだ。そしてKOKUFUMOBILのおもしろいのは、それらの多くは見かけ倒しではなく実際にその機能を果たすところだ。國府の想像力によって生み出されたそれらの見た目はSF的ともいうべきものだが、それらは確かに実現可能な「ありえる」ものなのだ。そしてそれらが実際に動いているのを目にしたとき、見る者の心にはまた新たな世界のイメージが浮かんでくる。この空想とリアリティーの独特な混交は國府作品の大きな特徴の一つである。 (続きを読む…)

上田祥悟, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 7 月 1 日 | No Comment | 2,122 views]
聖をかざる、俗をかざる 《日本美術の荘厳-祈りとかざり- レビュー》

今年で開館15周年を迎える細見美術館では、第2弾となる記念特別展「日本美術の荘厳-祈りとかざり-」が7月21日まで開催されている。同美術館が所蔵する琳派や伊藤若冲の作品群を扱った第1弾の展示に引き続き、今回の展示では実業家・細見亮市が蒐集し、細見美術館のコレクションの根幹となっている仏教や神道に関する美術作品を中心に焦点が当てられている。会場では各時代ごとの祈りの場や生活の場において用いられてきた荘厳具や調度品が紹介され、「かざる」という行為に込められた当時の人々の美意識を鑑賞することができる。 (続きを読む…)

上田祥悟, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 5 月 28 日 | No Comment | 1,942 views]
信仰の交差点 《當麻寺 - 極楽浄土へのあこがれ- レビュー》

日本書紀の推古21年(613年)の条に「自難波至京置大道」とある。これは日本最古の官道に関する記述として知られ、そのルートは現在の国道166号と同じく、大阪の難波から二上山の南側を抜け、奈良の飛鳥京へ至るというものであった。飛鳥時代にはこの官道を通じてさまざまな物資が運ばれ、また遣隋使や留学僧が往来して大陸の文化を都へともたらし、飛鳥文化の発展に大きな役割を果たした。二上山の東麓に位置する當麻寺は、7世紀の創建以来、そういった交通の要衝として栄えながら、やがて極楽浄土信仰の聖地として人々からの深い帰依を集めていった。 (続きを読む…)

佐々木玄太郎, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 5 月 28 日 | No Comment | 2,473 views]
コレクションをいかに活かすか《美の響演 関西コレクションズ レビュー》

どの美術館にも自慢の所蔵作品というものがあり、それらは多くの観客の目に触れるべく大抵その館の常設展で公開されている。しかしながら企画展に足を運ぶ人は多くても、常設展については一般の観客の関心は薄く、所蔵作品の知名度も高くないというのがほとんどの館の現状であろう。質の高いコレクションが存在しながら、それらが十分目を向けられていないとすればそれはひどくもったいないことだ。しかし、一つの館の所蔵作品だけでは常設展の展示替えをしたとしても見せ方が限られていて、観客の目を引きつけるような新鮮な展示を行うのは難しいのも事実である。展示構成によって作品同士を有機的に結びつけ魅力を引き出して見せるのがキュレーターの仕事とはいえ、いかんせん一つの館の中だけではそのコマ自体が非常に限られている。どうにかして、館の所蔵品の魅力を効果的に伝え、より多くの観客にそれらへの親しみをもってもらうことはできないだろうか?『美の響演 関西コレクションズ』の企画の背景となったのは、そのような問題意識である。 (続きを読む…)

上田祥悟, 展覧会レビュー, 関西 »

[2013 年 4 月 30 日 | No Comment | 2,604 views]
在外至宝ずらり 《特別展 ボストン美術館 日本美術の至宝 レビュー》

アメリカで最も歴史のある美術館の1つに数えられるボストン美術館が所有する日本美術のコレクションは、およそ10万点にものぼる。この世界的にも貴重なコレクションの礎を築いたのはエドワード・S・モース、アーネスト・フェノロサ、ウィリアム・スタージス・ビゲローら、日本美術をこよなく愛した3人のボストニアンであった。明治維新以降、日本中が一丸となって近代化・西洋化を押し進めていく中で、3人の元には様々な経緯で手放された美術品が集められた。後にボストン美術館へ寄贈されることになるそれらの作品の中には、日本の美術史上欠かすことのできない作品も多く含まれていた。 (続きを読む…)