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Articles in the 上田祥悟 Category

上田祥悟, 展覧会レビュー, 関西 »

[2012 年 10 月 30 日 | No Comment | 2,737 views]
漆の文化交流Ⅱ 《漆・うるわしの饗宴展 —世界の女性作家による漆表現の現在—  レビュー》

二条城にほど近い京都市中京区の堀川御池にある京都市立芸術大学ギャラリー、通称「@KCUA(アクア)ギャラリー」は、西京区大枝沓掛町に本拠を構える同大学が京都市内における情報発信や文化交流の拠点とすべく、2010年に運営を開始したギャラリーである。大学の英語表記である「Kyoto City University of Arts」の頭文字をもじって、「@KCUA(アクア)」と呼ばれている。今年で開館3年目を迎えるギャラリーでは、様々な分野で活躍する作家を招いた展覧会や講演会、演奏会、研究会が盛んに行われている。そんな@KCUAギャラリーにおいて10月の6日から10月21日まで開催されていたのが、世界8カ国から総勢31名の女性漆芸家が参加した《漆・うるわしの饗宴展》である。

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[2012 年 9 月 28 日 | No Comment | 2,028 views]
東洋花布 《紅型 BINGATA展 レビュー》

15世紀に成立した琉球王国は、現在の沖縄本島を中心に様々な国や地域との交流を活発に行う中で、独自の王朝文化を築き上げた。王族や氏族の礼服・日常着として使用された「紅型(びんがた)」もその1つである。海上交易を通じて、中国の型紙技法をはじめ東洋のあらゆる染織品から様々な要素を吸収し、発展した紅型は「東洋花布」と称され、周辺国への優れた輸出品となっていった。

1972年の沖縄返還から今年で40周年を迎えるのを記念し、琉球王朝時代の染色文化を紹介する紅型展が大阪市立美術館で開催されている。この展覧会では琉球処分や第二次世界大戦という度重なる危機を経ながらも、現在まで守り伝えられてきた紅型の優品245点が、前期・中期・後期に分かれて展示されている。かつて琉球王家に伝えられ、現在は那覇市歴史博物館が所蔵する国宝10点や、今回初公開される洋画家の岡田三郎助による蒐集品58点(松坂屋コレクション)など、見所の多い展示内容となっている。 (続きを読む…)

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[2012 年 8 月 28 日 | No Comment | 2,421 views]
八雲たつ 《大出雲展 レビュー》

日本最古の歴史書である「古事記」は、古代の神話や伝説、歌謡といった要素を取り入れながら天地開闢から推古天皇に至るまでの記事を収めた、日本文化の起源を考える上で欠かすことのできない書物である。上・中・下の全3巻からなる古事記の中で、主に神話について記載されている上巻は別名「神代巻」と呼ばれているが、そこで語られている神話のおよそ3分の1は出雲の土地と深い関わりを持っている。そういった神話の中に登場する出雲の記述に加え、出雲大社をはじめとする古くから出雲の地に所縁のある多くの寺社の存在は、今なお人々に「出雲=神々の国」というイメージを抱かせる要因となっている。

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[2012 年 7 月 30 日 | No Comment | 2,433 views]
友禅と和様 《千總コレクション「描かれた小袖」展 レビュー》

京都市中京区にある京友禅の老舗「千總」の創業は戦国時代後期の弦治元年(1555年)にまで遡り、京都に数ある老舗の中でも極めて長い歴史を誇っている。創業当初には主に京都の大寺院に納める法衣(ほうえ)装束などを取り扱っていた千總だが、後に江戸時代の元禄年間(1688年〜1703年)に登場した「友禅染」に着目したことにより、織物から染物への大きな転換を果たした。江戸時代から現在に至るまで、千總が自らの歩みとともに蓄積してきた染織品・絵画・古文書などの資料は「千總コレクション」として知られ、それらは各時代における染織の状況を知る上での貴重な資料であるとともに、現代における千總の新たな創作活動を支えている。

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[2012 年 5 月 29 日 | No Comment | 2,839 views]
世界に満ちる模様 《芹沢銈介展 レビュー》

1956年に染織の分野で重要無形文化財保持者(人間国宝)の認定を受けた芹沢銈介は、人物や自然、文字や道具類といった身の回りにある様々なものの中に模様を見出し、それらを独自の視点で意匠化して作品に取り入れた。伝統的な染色技法を基にしつつも作家の個性に満ちた芹沢の作品は、染色の世界に大きな足跡を残しただけでなく、現在もいわゆる「芹沢文様」として多くの人々に親しまれている。京都文化博物館で6月3日まで開催されている『宗廣コレクション 芹沢銈介展』には、芹沢作品の蒐集家として知られる宗廣陽介氏のコレクションの中から約150点が出品されている。会場では代表的な染色作品はもちろん、ガラス絵や板絵といった肉筆画、下絵やアイデアスケッチなど、芹沢本人と交流のあった宗廣氏ならではの蒐集品も見ることができる。 (続きを読む…)

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[2012 年 4 月 27 日 | No Comment | 2,542 views]
光琳にまねぶ 《酒井抱一と江戸琳派の全貌 レビュー》

伝統的な大和絵の流れを汲みつつ、雅で装飾性豊かな「琳派」の表現は安土・桃山時代の末に活躍した俵屋宗達、本阿弥光悦らによって生み出された。その様式は後に登場した尾形光琳、尾形乾山らによって大成され、絵画を中心として書や工芸の分野にも大きな影響を与えた。江戸時代の後期に活躍した酒井抱一は京都を中心に発展していた琳派の様式に強く憧れ、その様式を学んでいく過程で江戸に特有な粋で洒落た美意識や叙情性を取り入れて「江戸琳派」と呼ばれる新様式を確立させた。

細見美術館で開催中の《酒井抱一と江戸琳派の全貌》では酒井抱一とその後継者たちの作品が前期・中期・後期に分かれて展示され、江戸琳派の起こりと活動の軌跡を見ることができる。その一方で、出品作品の中には抱一が手掛けた浮世絵や仏画など、琳派の枠には収まりきらないものもあり、通常の琳派に関する展覧会とは一味違った、抱一の多岐にわたる制作活動の実態を知ることができる展示内容となっている。 (続きを読む…)

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[2012 年 3 月 29 日 | No Comment | 2,416 views]
手の平サイズの美の世界 《印籠百展 レビュー》

京都市東山区にある八坂神社から清水寺まで続く町並みは、市内でも特に京都らしい雰囲気が感じられることもあって、常に大勢の人々で賑わう人気スポットとなっている。清水寺の門前町として発展してきた三年坂にある清水三年坂美術館は比較的小規模な美術館ではあるが、幕末から明治時代にかけて作られた細密華麗な美術工芸品を数多く収蔵していることで知られている。その展示作品の質の高さから、何気なく立ち寄ったものの思わず長居してしまう旅行者も多い。この美術館の主な収蔵品は金工、七宝、蒔絵、京薩摩などの工芸品で、それらの一部は館の一階にある展示会場で制作工程や材料、道具類の丁寧な解説とともに常設展示されている。館の二階には特別展・企画展の会場があり、現在は清水三年坂美術館が誇る印籠コレクションの中から名工達の逸品を選抜した『印籠百展 - The Myriad World of Inro』が開催されている。

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